「パークアヴェニューの妻たち」




⚫︎国際交流パーティーとやらに出て、
あまりにも話せない自分のバカさに落ち込んでる


私のような庶民には、理解できずに頭抱えてしまう、
特殊な人々の生態を記録したノンフィクションでございます。
どんな映画やドラマより本物はすごかった!ショックすぎた。


原題 Primates of Park Avenue ウェンズデー・マーティン著

「パークアヴェニューの妻たち



小説公式サイト




中西部出身で、NYでキャリア向上をとげた社会学者で作家の著者が、
出産を機に、より良い環境で子育てをしたいという願いから、
NYの中でビリオネラだけが住む地域、
『アッパー・イーストサイド』(パークアヴェニュー)に越し、
そこで見聞きし思考し分析したことを書いた本。


印象は大きく三部にわかれる。

*一部
パークアヴェニューに越すまでの不動産に関する風習と、
そこに住む住人たちの驚愕の生態。

*二部
最初は新参者として観察していた著者が、
どっぷり彼らの生活と考え方に転化する過程。

*三部
裕福な母親たちの内に潜む不安感、危うい立場、
男対女の社会,家庭の構図の厳しさ切なさ。
著者の3人目の妊娠出産とその後の人間関係。

人間観察を、霊長類や他の動物達の行動と照らし合わせているのが良い。
感情だけでなく、科学的に女達の心理を探っている。
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本に出てくる金持ち達。
私の周りの金持ちの知り合いたちなんぞ、
貧民に思えるくらいの金持ちぶりのもう、なんか、。。。。もう、すごいんだわ

箇条書きしてみる
・自家用ジェット持ってて当たり前(無い人は存在しないも同じ)
・子守、家政婦、運転手、スタイリスト、ネイリスト他雇ってて当たり前(同上)
・上から下まで高級ブランド当たり前(同上)
・ハンプトンズと海外で、休暇をすごすのが当たり前(同上)

ビリオネラ社会では普通こうなんだろうとは想像がつくものの、
この本は、子供をもつ金持ち女についての本なので、
子供に関することでの奇妙奇天烈なルールの存在には、
冗談だよね!?と言いたくなる。

まず、妊娠の時期から差別が始まる!(頭おかしいんじゃね?)
何事かというと、子の成長度からすると、9月から始まる新学期に、
7月8月生まれの子供は学校(超高い私立)としても受け入れたくない。
なので、10月生まれが理想。妊娠は1月から遅くても3月にするべし!

7月生まれの著者の息子に対して、本人の目の前で、
「誕生日がダメなのね」と言った金持ち妻あり。  

子供は、良い職業(莫大な財産を築けると信じられている職業)に就くための、
良い大学に入れるための、良い小学校に入れるための、
良い幼稚園または良い保育園に入れねばならず、
良い保育園に入れるためには、権力と金とコネがなければならず、
そんな保育園に子供を入れるため、金持ちの親が血眼になって駆けずり回る。

ここで言う、<良い>とは、子供を慈しみ、
幸せに生きるための知恵や知識や感性を育てる教育をする<良い>じゃなくて、
将来の進学ルートにつながる強力なコネのある、金持ちしか入れない場所という意味。
当然、保育園側の力は絶大!


保育園の送迎は、運転手付き高級車以外はタクシー。
保育園後に子供を遊ばせるにも、ママたちの階級がものを言う。
子供の誕生日パーティーに5,000ドル使うのは普通。
子持ちでもいつまでも美しく若くの強迫観念で、美容整形やジム、
衣服に年120,000ドルほど使う。
超ハイヒールを涼しい顔して履くために、足指に神経を麻痺させる注射を打つ。
子守に一年で100,000ドル払い、自家用ジェットで旅費を出して旅行させる。



たくさんの高級ブランド名が出てきます。
高級ブランドを持つ、身につけるということは、
地位を見せつける、敵をけん制する、他者との差別化をする、ということ。
そして、パークアヴェニューの母親たちにとって、
子供の私立学校の卒業証書と家政婦がアイデンティティそのものであり、
高級ブランドもまたアイデンティティそのものになる。

ブランドの中のブランド、バッグの中のバック、
バーキンについての記述には呆れて唸るしかなかった。
150万?とかするバッグね。あれね。あれを欲しいと思う心理、
手に入れるまでの女たちの奮闘。権力争い。もはやコメディにしか思えないんだわ。

その前に、アッパーイーストサイドの不動産に入るための審査の、
物凄さ(独裁政治か!?と思うほどの非常識さ)には、
こんな所にはどんなに金があっても住まない!と思わせる破壊力あり。

あまりに驚きの事実の連続で、中身が濃すぎて、
なかなか先に読み進めなかったよ。

私は、アメリカの都市でみんながいいというニューヨークが、
なぜか心に響かなかった。もちろん、
美しい建物や美術館や公園など、素敵な部分はたくさんあるが、
なんというか気持ちが落ち着かないというかセコセコするというか、
都会好きの私なのになぜ?と不思議に思っていた。

この本を読んで、 ああああ、街全体から受ける印象が、
「パークアヴェニューの妻たち」を代表する違和感だったのかもしれないな、
と思い当たった。はっきり言って成功(金)が全て、な感じね。
アメリカン・ドリームなんていう夢の世界じゃなくて、
食うか食われるかの弱肉強食の野生の世界。
キャリアアップ思考ゼロで、競争心が嫌いで、(だからスポーツが嫌い)
事件事故無くその日がすぎたらそれでよしと思ってる、
間違いなくの私に、
居心地の良さなんて感じられるわけなかったもんね。

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金持ちのライフスタイルと思考を書くだけなら、
ただのセレブゴシップ記事になってしまうが、
著者は人類学にも詳しい社会学者。
金持ち妻の闇の部分も興味深く描いている。

完璧な母親、完璧な子供、完璧なスタイルと美貌、
完璧なライフスタイルを維持するために、女たちは神経をすり減らし、
父親か夫に依存している経済状態がいつどうなるかの不安に怯え、
夫の浮気に怯え、子守との確執に疲れ果て、
抗うつ剤やアルコールに依存していく。依存しているという意識もなく。

著者が娘を失ってからの人間関係にとても共感する。
それまでの意地悪なママ達でさえ、女が子を失うという悲劇には
心からの同情と親愛の情を寄せる。
女が3人集まったら、一人は流産や死産の経験がある。とは聞いていたが、
やはりNYでもそうなのだと知った。

霊長類のメスは、自分の子を育てるだけでなく仲間の子も育てる。
子供をみんなで育てるという意識は、現代の都会でも当てはまる、
メスの本能なのだと著者は答えをだす。

ここで思い出した。
街中や電車の中で、他人の幼い子に笑いかけたり話しかけたりするのは、
全員おばちゃんだ!男がやってるのを見たことがない。日本でも海外でも。
だよね、動物のオスは、自分の子を産ませるために、そのメスの子を殺すもんね。
著者の夫、妊娠6ヶ月で陣痛が来てしまった妻を病院に連れていくっていうのに、
ドアマンが傘ささないことに文句言って、
「スーツが濡れたじゃないか」  こいつ死ね、と思いました。



セレブゴシップ、動物学、人類学、社会学、進化、もろもろ。。。。
とてもとても深く考えたくなる本でした。おすすめ

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この本を読んでいる間に、カナダのドキュメンタリー
「パソコンを置いて森で暮らそう」All the time in the world
を見たんだけど、私にはこっちの方が羨ましい親子関係、家族関係、で、
心の底から生きてる感じで、
ますますNYアッパー・イーストサイドに生きる人々の狂い方に呆然としました。









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