「ロジャー&ミー」


大好きマイケル・ムーア監督のデビュー作。
久しぶりに再鑑賞。



原題  ROGER&ME  1989年 アメリカ

監督・製作 ・脚本 マイケル・ムーア


ロジャー&ミー



マイケル・ムーアの故郷ミシガン州フリントには、
GM自動車の組み立て工場があり、住民の大勢が働いていた。
GMは永遠に躍進し続け、未来は保証されたと思えたが、
人件費の安いメキシコに工場を移すため、3万人がレイ・オフされる。
会長ロジャー・スミスに、失業者だらけになった町の現状を見せようと、
マイケルは、デトロイト、ニューヨーク、シカゴとロジャーを探す。


ゼネラルモーターズ社が絶頂期だった頃の
フリントでのパレード映像で華々しく始まり、
ロジャー・スミスのレイ・オフ宣言➡︎失業者で溢れるフリント
➡︎家賃が払えなくなった住民への立ち退きの嵐➡︎犯罪の増加
➡︎自衛の為の銃の蔓延➡︎観光都市への改革とその失敗と続きます。

▲犯罪や立ち退きに合うのは黒人の比率が多い。







レイ・オフって、企業の業績悪化などを理由とする一時的な解雇、だそうですが、
GMがやったレイオフは、永久にクビ、のことでした。

『企業は利益を追求するのもだ』これはその通り。
ただ、何万人もクビにして、幹部はボーナス貰うって、なんだよ!って、
こっちは思うわな。


この映画は、マイケルがロジャー・スミスに会って、
フリントのことを知ってもらおうとした映画だから、ロジャーに会うまでの、
手紙を出し電話もしても受け付けで追い払われるところが数回出てきます。
やっとスミス会長に会えたのが、約3年後の株式総会。
株主の代理のふりして質疑応答に名乗りでると、途端に終了にされる。
「フリントに来てください」と言うと、
「私には関係ない」と断られる。


失業した人々をどう思う?と聞かれた有名人の答えが空々しい。
パット・ブーンは「アムウェイでもやれば?」と言い、
ミッチー・ゲーナーは、「今日の太陽と人生を神に感謝して!」
「頑張ればなんでもできるわよ!」と言い、
ミス・ミズーリは「少しは悲しいけどミス・アメリカに出るから中立の立場なの」と言う。


持てる者と持たざる者の意識の隔たりは途方も無い・・・・・



マイケルが予測してなかったと言ったシーンがあります。
GMに勤めていた夫が死に、生活保護を受けてる子育て中の女性が、
笑顔でマイケルのインタビューに答えながらうさぎをつぶし出す。
三回頭を殴って、まだ動いてるけど足を紐で縛って木に吊るし、
生きてるけど皮を剥ぎ取り(多分この辺で死ぬ)腹を裂き、内臓を出す。
肉を売るために。 会社からも国からも何の手当もなく、
これしか稼ぐ道がないから。
このシーンを入れるべきか悩んだマイケルは、現実を知って欲しかった、
企業に飼われ殺されるから人間もうさぎと変わらないと、入れることにした。

この後に続くシーンは、
「失業者は仕事を探すべき。社会保障が良すぎる。」と言う、
ゴルフに興じる富裕層。


エンドロールで朗々と歌われる、
パット・ブーンのアメリカ礼賛歌の皮肉さよ。

誇り高きアメリカ 民主主義の国
人々に約束された平等の権利
それは自由と平和のたまもの


この曲も皮肉に使われています。

ビーチ・ボーイズ「素敵じゃないか」





最後の最後の文章
この映画は、フリントでは上映できません。
映画館は閉鎖されました。



ユーモアはあるけれど、マイケルみたいに、
「みんなで良い国に変えていこう!」な楽観的になれない私は、
ふッ・・・・と 虚しい笑いをするばかりで、
ますます世の中が嫌になっただけでした。


マイケルは自分が映画に映るのが嫌だったと言っています。
引っ込み思案で内向的だから、緊張でガチガチになっていたと。
でも、映画を撮る機会に恵まれた一般人の代表として、
出る必要があると感じたから、出る決心をしたと。

だが、この映画を見た人々が連邦議員に訴え、
街が救われると期待していたマイケルは、そうならなかったことで
これは失敗作だと感じ、長い間挫折感を味わっていたそうです。



*ワーナーの幹部は、映画を売る条件としてマイケルが提示した、
立ち退きにあった人々の2年分の家賃の支払いと、
失業者への25万枚分の無料チケットをOKし、実行した。あっぱれ!

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今、現在のフリントがどうなってるか検索してみた。

すでに2003年だかには破産してたフリント。
2016年4月の段階で、貧困層以下の住民が26%。
全米で最も危険な都市の一つにされ、
水道水の鉛汚染で州環境当局職員と市職員が訴追された。

街は悪くなるばかりなのですね。


そしてGMも破産した。








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