「SUE スー 史上最大のティラノサウルス発掘 」


化石一筋に生きてきた古生物学者が、
訳のわからない法律問題にがんじがらめにされ、
愛するティラノサウルスレックスのスーを奪われた顛末を描いた
ドキュメンタリー映画「史上最大のティラノサウルスSueの物語」

この映画を見て、すぐに本を読み始めました。


400ページっくらいあったわ。。。  

大きく分けて3つの事柄が書かれています。

1 世界最大のティラノサウルス化石の発掘後の、
言いがかりとしか言いようのない訴訟、裁判について
2 ピーターが弟ニールと始めたブラックヒルズ研究所の仕事内容
3 古生物学地質学を中心にした学術的なこと

ピーターの文章の合間合間に、
ジャーナリストとしてクリスティンが書いた文章が挟み込まれています。
ピーターたちが、
穴に落ち不条理なゲームをやらされた「不思議の国のアリス」のアリスのようだからと、
共著者クリスティンは、この小説の言葉を借りながら執筆した。
ピーター自身も、裁判を、小説の暴君が仕切る狂ったクローケー試合に見立て、
合衆国政府とのクローケーの試合と表現している。



ピーターラーソン



本の最後部には、
地質年代表・発掘された主要なティラノサウルス標本表・
古生物学が関係する重要事件表・大勢への謝辞 が掲載されています。
たくさんの図・写真もあり、ユーモア交えた文章とはいえ、
わかりやすく書かれた古生物学研究書のよう。
面白かったのは、「現代の化石争奪戦」表。
化石についての問題点が、<三揃いスーツ族の見解><民間の見解>二つに分けて
書かれていて、その違いに苦笑してしまった。

もちろんピーターら現場で泥と汗にまみれて日焼けして、
1日に何キロも歩いて何時間も地べたで作業をする人々は、
<三揃いスーツ族>ではありません。

化石のことを情熱的に語る部分は楽しく、
非情な裁判の部分では怒りで苦しくなりながら読みました。

*驚いた箇所
当時のピーターと日本の恐竜展の関係。
ピーターたちが取り調べを受けていても起訴されても、
プロジェクトディレクター城岡充夫は全くためらわず、
TBS放送は、もう一体のTレックス スタンの一年間の巡回展示の後援をし、
伊藤恵夫という解剖学者でアマチュア古生物学者が国際間の仲介役を務めたそうです。
全然知らなかった、そんな展示があったなんて。そんな事情があったなんて。
ピーターたちが苦しんでいた時に、
FBIが何してても気に留めずプロジェクトを進めた日本人がいたとは!
金儲けのため?純粋にやりたかったから?
(バブル時代に日本が化石価格の相場を釣り上げたという説もあるが)

ピーターは、アメリカ人から見た日本人についてを
『日本人の完璧主義(←そうなの?)に少しばかり引け目を感じ、
学生や労働者の規律正しさ(←そうなの?)には少々妬ましさを覚え、
日本の文化遺産にはやや疎い』
と書いた後、ブラックヒルズ研究所は日本人に命を救われた、と書いています。
恐竜に対する飽くなき情熱を目の当たりにし、日本ほどスーを愛した国はないと。

政府の横暴に 精一杯頑張って弁護の策を練った 弁護士、(負けたけど)
スーを競り落とす資金を出した(落とせなかったけど)、
サウスダコタ州の事業家で慈善家のスタンフォード・アデルスタイン、あっぱれ。

マクドナルドとディズニーに金出してもらってスーを展示したフィールド自然史博物館、
展示初日にピーターを招待しなかったそうです。なんだよ!



本が書かれてから10年以上たった現在、化石発掘には、
土地政策や法律問題が今も立ちふさがっているのだろうか?

スーの第一発見者スーザンは、アメリカの法制度に嫌気がさし、
フランスに移住して仕事をし、「Hunt For The Past」という自伝を出し、
その後ホンジュラスに移ったらしい。


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映画について トッド監督とピーターのインタビュー動画。
どんな時でも発掘用の服装のピーターは、その見た目ゆえ、
お偉方に化石泥棒呼ばわりされた。。。





映画の感想

史上最大のティラのサウルスSueの物語

ピーターたちは、出版後も、精力的に発掘・研究に励み、
裁判で大打撃を受けたブラックヒルズ研究所は大きく発展し、
2013年にはほぼ完全な状態のトリケラトプスを発見したそうです。

ブラックヒルズ研究所WEBサイト



その後、 2005年にスーは来日したそうですが、
フィールド博物館は絶対に外にスーを出さないから、レプリカだったのですね。

今月 上野で恐竜展があるのね。

恐竜博2016公式サイト






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