「KIZU傷」 その2


「ゴーン・ガール」同様、
この作品も作者の出身州、ミズーリ州の小さな町が舞台。
ミズーリ州の歴史の記述も出てくる。複雑。
アメリカは移民で作られた国だから複雑なのも当然だわね。

訳者あとがきによると、この州は別名”ショウ・ミー州”とも呼ばれ、
南北戦争時、家族までが分断された経験から、人々は疑りぶかく協調性がない、
と言われているらしい。



ー簡単なストーリー

シカゴに住み、事件担当の新聞記者で生計をたてているカミルは、
産まれ故郷で起きた、<少女殺害事件>を取材してくれと上司に頼まれる。

母親と、継父、種違いの妹が暮らすのは、
故郷ウィンド・ギャップの中で白人富裕層が住む一角。
カミルはまず、町の警察に話しを聞きに行く。

取材が、事件の解決が、なかなか進まないのは、
うわさ好きでありながら秘密主義の、この町の体質のため。
そしてカミルと母親とのぎくしゃくした関係のため。

仕事としての取材行動と、カミルの家庭事情とが、
いつの間にかどろどろと混合していく過程に引き込まれ、
10代前半のませた子供達の言動をもっと読みたくて、
ダムの決壊を待ち望むように、他人の暗い秘密を楽しむように、
邪悪な私の心が快感を求めて、
読み終わるまでやめられなかった。  



好きだ、この小説

ラスト近くは一気にきます。一気に暴かれます。



ー好きなポイント

かわいそうな子供がでてくる
かわいそうな子供時代から抜け出せないかわいそうな大人が出てくる
かわいそうな子供と大人は全員女だから、ちゃんとかわいそう






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カミルの秘密は、三段階で明らかになった。

ーシャワーは、水が当たるのが皮膚に痛いから、バスタブにお湯をはる

という文に、「神経質で敏感な人なのね」と思ったが、読みすすめると、
母親がローションを買ってくる文章が出てくる。
ここで、あれ?もしかして、上の妹の死因はカミルのせいによる火事?
その時の火傷のあとがあるの?と思った。

ところが そんなもんじゃなかったわけね。

これを人が目にしたらどんな感情を呼び起こすのか?
あまりにも突飛すぎて、けして友達や恋人になろうとは思えない気がする。
表面だけの付き合いならするが、好奇心と恐れを取り払い、非難や同情なしに、
人間としてのカミルに向き合おうとする人はそういないんじゃない?



だが、カミルが体に秘密を抱えるようになった原因には深く共感する。

子供って、経験不足で知識がないから(大人になりゃ経験豊富になるが)、
必要以上に傷ついてしまう。傷ついても人に言わないし発散のしかたがわからない。
気の毒だよ、子供って。




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*「ゴーン・ガール」では夫に感謝し、
 「KIZU傷」では両親に感謝している。

作者は、仲の良い幸せな家庭に育ち、理解ある夫と暮らしていると言いたいようだ。
小説を読んだ読者が、背後に作者の経験を望んでしまうのは、
大いなる誤解らしい。そうなの?ほんとに???
なんかあるでしょ?!ねえねえギリアン、隠してないで教えてよ。

何もないとしたら、なんという怖い人なんだろう。
ただ頭がいいだけなら、ちょっといやだな。


ギリアン・フリン公式サイト



KIZU傷その1







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