「柔らかい殻」


▪️「サボテン・ブラザース」に下ぶくれの変なおっさん出てると思ったら、
若き日のロッシ(クリミナル・マインド)だった!   びーです▪️



”少年期は悪夢のよう 何もかもが恐ろしい 
ある日目覚めたらすべてが変わる、肌はしわしわ 髪も 視力も 
でも大丈夫 愛されていれば若さを保てる”



少年が吸血鬼と信じきっている隣家の中年女性が、
少年に向かうこのワンシーンのセリフすべてが
人生と子供時代を言いあわらす。


「妖精たちの森」THE NIGHTCOMERS 1971年
を思い出す、子供の脳が作り出す、現実と虚構の区別が曖昧な恐ろしさ。


原題 THE REFLECTING SKIN 1990年 イギリス

特殊な作風のフィリップ・リドリー初監督作

出演
リンジー・ダンカン
ヴィゴ・モーテンセン
ジェレミー・クーパー
シーラ・ムーア
ダンカン・フレイザー



ネタバレ気味に書きます



柔らかい殻



黄金に輝く草が風にたなびき、子供たちが走り回る。

冒頭の牧歌的描写が、こんなにもおぞましく恐ろしい物語になっていくとは、
まったく予想もしてなかった・・・・・


子供らがカエルを捕まえ、尻に息を吹き込みパンパンにして道に置き、
標的の『あいつ』と呼ぶ未亡人が近寄ると、パチンコで破裂させる。
あいつは、中年で一人暮らしいつも黒い服陰気な顔、
で、子供には魔女的存在。

8歳のセスは、
ガソリンスタンド屋の父を、兄を溺愛する母がこき下ろす家庭にいる。
兄は軍人で戦地にいる様子。
セスの遊び仲間が殺され父に嫌疑がおよび、父親の性癖を母が責める。
父は耐えきれずに焼身自殺。母はますますおかしくなる。
やっと帰った兄は弟のことより女。弟は兄を守る為、ある行動にでる。









ずっとセス目線
大人たちの言動は、セスの受け止め方で解釈される。


ネットも携帯もカラオケもモールもない時代と場所
大人は糧を得るための細々した仕事とうっぷんばらしの噂
子供は空想といたずらと大人の噂の湾曲理解


未亡人が、小箱に入れた夫の髪や香油を見て泣く。
大人ならかわいそうと思う場面でも、子供にしたら、
不気味なおばあさんがよだれたらして泣くなんざホラー。
死んだ人の物持ってるなんて、殺した記念品にしか思えない。


大人が深く考えずに言った何気ない一言が、
子供にはとてつもない影響を与え、頭がそれに占められる

性的欲求 家族への愛情と憎しみ 見知らぬ人への好奇心と恐れ
子供は大人を恐れ 大人は子供を恐れ侮蔑し 敬意など存在しない

子供時代・・・・ あのむごい、苦しみに殺されそうだった長い年月

今の苦しみはすべてあの暗黒時代に根ざす
監督もそうだったのかなぁー  すごい映画だと思った。

ラストのセスの叫びは、やっと現実に目覚めた恐怖と後悔の叫びでしょう。

<私の想像>
軍に入り、原爆投下後の日本にいた兄は放射能汚染で病んでいる
子を殺すのは、まるで異界の凶鬼のように突然現れる男たち
あの天使は堕胎した赤ん坊が蝋化したもの
(母親は未亡人かセスの母)
未亡人の夫はゲイを隠して結婚 仮面生活に耐えられず自殺





学校教育は、科学的に、
子供の脳の仕組みと、日常の出来事から受ける働きを、
事細かくわかりやすく教えてやれ!
そして、悩む必要はないんだよ、と安心させてやれ!
大人の義務として。



監督、この映画のように、ぼんやりとした悪夢を思わせる絵を描く画家。




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