「悪童日記」


昔 読みました。記憶に残っているのは、
<性的でうしろめたい>
ということ。

何がそんなにイヤラシク感じたのか再読。
映画化不可能と言われていたのに映画化された作品が、
この秋 日本でも公開になるから。


著者クリシュトーフ・アーゴタ(アゴタ・クリストフ)
1956年、ソ連の支配に蜂起したハンガリーのハンガリー革命。
ソ連の鎮圧による殺害から逃れるため、オーストリアへ、のちにスイスへ。



フランスに移住し、フランス語でのデビュー作
「悪道日記Le Grand Cahier」1986年

*意味 大きなノート

邦題は悪ガキの日記みたいですが、いわゆる不良でも悪戯っ子でもなく、
悪でもありません。結果、悪の行動でも、彼らにその気はなく、
大人の言う、一般的なモラルは無い。
「隣人が金が無くて困っているから」
「おばあちゃんがそうしたいというから」
「おばさんがそうしてくれというから」

そこに悪や恐ろしさを感じるのは、
平安な生活ができている現代大人ならでは。

悪





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<ストーリー>

小学校3年生くらいから?の双子の男の子の片方が、
「ぼくら」で書き留めた真実のみを綴る形になっています。
つまり、「〇〇(食物)が好きだ」とは書かず、「〇〇をたくさん食べる」
「〇〇(建物)は美しい」と書かず、「〇〇は大きい。色は・・・形は・・」
感情を表現する言葉を書かないのです。

「ぼくら」双子の兄弟は、大きい町のおかあさんと離れ、
小さい町のおばあちゃんちに疎開した。
魔女と噂されるおばあちゃんは、文盲不潔ケチ粗暴。
双子をこき使い、娘(おかあさん)からの仕送りも着服。

「ぼくら」は、泣いたり弱さをみせたりしないよう、鍛錬する。
・殴り合い、痛みを感じなくする。
・罵倒し合い、傷つかなくする。
・おかあさんの愛ある言葉を何度も繰り返し言い、意味のないものにする。

戦争だから、あちらの国また別の国と、兵士がうろうろする。
兵士は盗み強姦し双子を利用する。

おとうさん おかあさん おばあちゃん 
隣の兎口の女の子とそのロウの母親
司祭 女中 将軍 警察

「ぼくら」は人を、感情で見ない語らない。
誰かが泣いても嗤っても何をしても死んでも、事実を認識し、書くだけ。

冷静に計画的に、戦場下の子供としてできるだけの事をする。
愛や優しさからではなく、
(愛や優しさを否定することで、自分たちの心が弱くなるのをふせぐ)
するべき事だから。そしてなにより生きるために。



<感想>

第二次世界大戦時、ハンガリーはドイツに侵入され、しかたなくソ連に宣戦布告。
ドイツへの派兵を強いられ、離脱するために連合国側と和平するが、
かえってドイツに国土占領される。の史実をふまえた訳者の補足説明がある。
・小さな町はハンガリーの田舎町
・大きな町ーブダペスト
・国境ーオーストリアの境
・もう一つの国ードイツ
・外国の軍隊ードイツ軍  などの注釈も。

しかし、あとがきや注釈を読まなくても、
ドイツ、ナチス、ユダヤ人迫害虐殺、ロシア、など、
ヨーロッパの歴史に詳しくない日本人の私にも、すぐに想像がつく描写にはなっている。
具体的に記されてない(子供が見た事実のみの文章という形式だから)
様々な事柄を推測しながら読むことで、ファンタジー性が加わり、
子供主役のファンタジーだからこその残酷さをより感じられる。

淡々と、誰かが行方不明になり、誰かが犯され誰かが殺され、
淡々と、双子は知恵をつけていく。悲しい

家にお金のない兎っ子に食べ物をあげようとすると、
「いらない、わたし、自分で盗めるもの」
「ほしいのはあたしを愛してくれること。誰も愛してくれないの」
兵士を家に誘い、大勢に強姦される兎っ子は、
「なんてうれしい、なんてうれしい」

SEXのみが人に愛されることだと思っている、
SEXでしか人が気にかけてくれない、兎ッ子。悲しい

大人はどうでもいい、生きるも死ぬも自業自得。
常に犠牲になるのは子供。悲しい

恐ろしくない、悲しいだけ


書ききれない 


子供時代に、悶々としたものを抱え、
行動しないまでも悪意を募らせて来た人になら、
「ぼくら」はとても身近であり、
大人が作った社会と、大人個人の犠牲になっても、
知恵と行動で生き抜いていく「ぼくら」は、私たちの代弁者である。



こんな過酷で異常で残酷な物語、映像にしていいんだろうか
映像にしないでほしい 映画館に行って耐えられるのか?


映画予告編
流れるのは、ベートーベン:交響曲第7番より第2楽章
とてもとても荘厳でロマンチックなので、たくさんの映画に使用されていますね。
「落下の王国」が忘れられない。日本だと「愛のむきだし」しか知らない。





三部作となる「ふたりの証拠」「第三の嘘」 も読まねばならん
で、今日から読み始めます。感想は数日後









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