▪️私が何かを喋った時に、夫に「しっ!」と注意されるのが、
いったい何のせいか、どのタイミングでなのか、
さっぱりわからないまま10年が過ぎる。
自分が左利きだから、どうしたって気になります。
著者 デイヴィッド・ウォルマンは左利きのジャーナリスト
最初の章の前書き部分に、
日本のど変態野郎の犯罪が引用してあって、
非常に情けない。
(女性の左足用の靴を大量に盗んでいた男ね)
全人類の90%が右利きなぜかそうできている
(世界中で、左利きを不吉、悪魔の子、魔女、呪われてる
などと思考する人々が大勢いるため、実は正確な数字ではない)
何せ
プラトン 「子守や母の愚かさで産まれる」カトリック学校 「けだもののしるし」などと公然と言われてきたわけだし、
そりゃ本人は隠すし、親は無理やり右を使わせるわな。
著者は、左利きの謎を解明するため世界中を旅し、
科学者や心理学者、左利きの人たちと話し、
自らの脳をMRIで調べてもらい、左利きの迷宮を彷徨う。
ユーモアを交えた楽しくも深い内容になってます。
私も小さい頃に、
殴られながら、泣くともっと殴られるから泣かずに
はしと鉛筆は右で持たされた。
なんでなのかわからなかったが、自分はバカなんだ、
親は私が出来損ないな子供だと思ってるんだ、ってことは
骨身に染み込まされたわね。
家でこうなんだから、学校に行けばもっと、
私はバカで何もできないと信じることが起きまくる。
今思えば、箸と鉛筆を右で持つ生徒が左利きとは気づかれ無いことも裏目に出てた。
:走り高跳びどうしても飛べない=どうして飛べないのか今ならわかる
:野球でバッターボックスに自然に立ったら笑われた=野球は大嫌いになった
:バトン、当然のように右手でやらされ、何をどうしていいのやら
:ミシンの布をうまく動かせない=右手で抑えて運針する作りのため
ハサミ、包丁、カッターなどは右じゃどうしても動かせないから、
左でやる。が、刃の向きが違うから実はスムーズにはできてないんだろうな。
他にも、
自分が自然と左で作業しようとして、
おかしなことになるものは山ほどある。
ぐるぐる回す鉛筆削りが空回りして削れない。
配られたトランプを集めて 開くと数字が見えない。
いいおばさんになっても、毎日いちいち一瞬考えるのは、
鍵、瓶の蓋 蛇口いつも混乱。どっちに回せば開くのか閉まるのか・・・
財布 開くと逆さまになるから、スーパーのレジで一回ひっくり返さないとならないし、
エスカレータ は、荷物は左で持ちたいのに手すりが左にある(東京)。
パソコンマウスは矢印をうまく当てられないし、
改札口でいつもいつも左でSuicaを持ってしまい、変な体勢でタッチする。
たかが左利きというだけでこうなんだから、
車椅子で生活する人や体のどこかが不自由な人、
どんなに不便な日々を送っていることか。
まあ、とにかく、
何かしら失敗する、間違える、うまくいかない時は、
その作業の環境が右利き用にできているのでは?と見直さないと、
毎日、自分はダメな人間なんだと自己嫌悪に陥ることになる。
著者の父親(ハーヴァード大学の心理学者)が推測する。
「左利きの人は、自分に与えられる世界をそのまま受け入れることは決してできない。
空間配置ややり方などを、右利き用から左利き用に常に修正している。
物事を額面通りに受け取らない習性が身についているので、
アイディアや概念を別の角度からイメージし直すことが多いのではないか」
右利き用から左利き用に修正ということは、
一瞬でも余分な動きを一生を通してやらなければならないということで、
「CSI科学捜査班」グリッソムも言っていた、
左利きの人が右利き用の道具を使って命を落とす事故が年に何十件もある、
なわけだ。
左利きはなぜ起きる?の質問には、
まだまだ簡単には答えが出せないらしい。
一人の学者が言った。
<発達中の胎児の脳に何かが起こるから>胎児よね、やっぱ、と思う。
著者が脳を調べるために会った研究者が言った言葉が、
私がいつも疑問に思っていた事。
「知性のある大人が、なぜ神が人を作ったなどと信じているんだ?」ほんとだよ。いつもびっくりするのが、
アメリカの大統領が就任式で宣誓する時。
神、、、、出てくるじゃん?
え!?いい大人が公式の場で、しかも大統領になるってのに、
何言ってんの?って思う。
私にとっては、「未確認飛行物体に誓います」「幽霊に誓います」
と同じくらい笑える。
興味深い本でした。