「ハートランド物語」完読


■枝豆が大豆だと知ったのは30過ぎ  びーです■


日本で出版されている「ハートランド」シリーズ
全6巻を読み終わりました。(アメリカでは25巻)

あすなろ書房


何度も書いてますが、この本を読んだのは、
カナダのドラマ「ハートランド物語」が大好きだからです。

過去記事1

過去記事2


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ハートランドのファンのことを、
『Heartlanders』っていうんだって

YE〜〜S! I'M HEARTLANDERS❤️


本とドラマではいくつか違う点があり、
あるけれど、それが嫌な方向ではないことに感謝。


*主な相違点、書いておくわ。*
(あくまでも、本は6巻まで、ドラマはシーズン5まででの事ですが)

舞台=アメリカ(ドラマはカナダ)
エイミー達はイギリスで産まれ、パパが出て行ったので、
エイミー3歳の時、ママの実家アメリカに帰って来た。
ルーだけはパパの帰りを待ちイギリスに残り、イギリスなまりで話す。
(ドラマでは、ルーはニューヨークに住んでいた)

・エイミー:茶色の髪(ドラマは金髪)
・ルー:金髪ショート(ドラマは黒髪ロング)
・ミセス・ベル:早い段階でお亡くなりに。
・タイ:普通の家庭の普通の子(ドラマでは保護観察中にハートランドに来た)
・パパ ティム:本では再婚して、娘が産まれてます。
        (ドラマでは一夜の過ちで産まれた男の子)

そして、マロニーは本にはいません。もしかしたら、他の巻から出て来るのかも?
マロニー用の馬、コッパーは、本ではメラニーという顧客の馬に。
アシュリーは、ドラマよりもにくたらしく、
エイミーはドラマよりもアシュリーを嫌ってます。
スコットにはマットという弟がいますが、ドラマには登場していません。
ケイレブらしき人、キットらしき人も本にはいなかった。

馬達は、スパルタンやペガサス、シュガーフットなど、
同じ名前の馬はドラマにもいますが、境遇や亡くなりかたが違ったりしています。


ミセス・ベルは、本ではほんの少しの登場ですが、
この素敵な老女を、ドラマで活躍させてくれて嬉しいです。


Anna Ferguson


あな


「Anna Ferguson」(1994)っちゅう映画で主演?みたいですが、
なんでしょ?これ


くぼーい




本の感想です。

ヤングアダルト枠(中高生向け?)の小説なのですが、
本好き、物語り好きには年齢なんて関係ないもの。
夢中になって読みましたよ。一日二册の勢いでね。

乗馬したことは無いし馬の事何も知らないけど、
専門用語には、その言葉の下に説明書きがあるので解りやすく、
エイミーはじめ他のみんなにも、とても感情移入しやすい文章。

馬とのシーン、アロマオイルやハーブを使う治療シーンが興味深く、
馬たちのエピソードには、ドラマで見た時より号泣。


全巻和訳出版される日を待ち望みます。



ドラマのテーマソング
「Dreamer」歌詞




ジェン・グラントJenn Grant 




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それにしても、ドラマシーズン5のティムパパは、
今までにも増して自己中で最低な男として描かれていて、
エイミーちゃんには何の罪もないけど、見てて腹たって腹たって。



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「15歳の夏」(ハートランド物語シリーズ)


■夕べもケンカ夢で目覚めが悪い 
日々、こっそり怒ってる心が出るんだな、びーです■


愛してるカナダのドラマ
「ハートランド物語」の原作を読み始めました。

作家ローレン・ブルック
イギリス産まれ、1歳から馬に乗り、馬に親しむ生活をしてきた。
アメリカ ヴァージニア州で長く暮らし、
現在はイギリスに住んでいるそうです。

アメリカでは、25冊が発行されているようですが、
日本では6冊だけ和訳出版されてます。(あすなろ書房)


シーズン第一作目を読みました。ありがたいことに、大きめ文字で読みやすい。
「15歳の夏」Coming Home


夏


主人公はエイミー・フレミング15歳。
ヴァージニア州の馬の施設<ハートランド>に、
ママとおじいちゃんと住み込みの少年タイと暮らしている。

ママは、パパと離婚してからハートランドを開き、
依頼された馬の、心と身体についた傷跡を消す仕事をしている。
ハーブやアロマオイルでの自然療法を行い、
馬の声に耳を傾ける方針での矯正は、雑誌の取材がくるほど成果をあげてきた。
ママの仕事を見るのが、馬の世話をするのが大好きなエイミー。

ところがママは、エイミーと一緒にある馬の救助に出かけ、
悪天候の中運転し、事故をおこしてしまう。

事故後のエイミーは、苦しみながら、ママの夢、
「ハートランドを成功させる」ために立ち上がる。


ドラマ「ハートランド」







うおおおおお〜ん、エイミーちゃん!
うおおーーーーん、馬ぁ、馬ぁ。。。。!


この一冊だけでほとんど泣き続け。あと5冊で涙どんだけ出るんだ?
ドラマと同じシーンなのに、文章で読んだほうが心に響くもんなんだねー。

やっぱり本って、本を読むって大事だなー


全部読んだらまた書こう。






薔薇のティータイム


■あまりに腹立つケンカ夢で4時に目が覚めて今も怒ってる びーです■


昨日 吉祥寺の新しい駅ビルキラリナ5F,
off&on オフノオンキッチンという雑貨屋さんで、
一目惚れティーストレーナーを購入。

普段は朝いちにコーヒー、朝ご飯はコーヒーのみ、
の私ですが、外出先ではハーブティーを注文します。

家でお茶飲むにもティーポットとか急須?とか無いし、
私一人しか飲まないから、一人で飲む用の道具、ずっと欲しかったの。


素敵



ピンクの中で1番好きなこの色
シリコン性で、食洗機OKなのが嬉しい


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ぽこっと開けて、中に茶葉を入れる。
カップに薔薇を入れて、そっと振ると楽しい


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ほほほ、お上品になった気分ですわ :-D














アゴタ・クリストフ自伝「文盲」


どうやらわたくし、この作家の中毒になってしまったようで、
悪童日記三部作のあと、その後に発表された、「昨日」も読んで
「どちらでもいい」は味わい中、戯曲集は予約済み。
自伝は、さっき1時間かからずに読み終わりました。

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「文盲」L'Analphabéte


文盲



故郷ハンガリーへの想いに嘆き苦しんだ人

<幸せだった子供時代を、強制的に終らせられた>
という傷を、生涯消せなかった人。



ハンガリーの小さな村、電気も水道もないが、
大好きな兄と野原を駆け回る幸せな子供時代。

4歳 父は、村でただ一つの学校のただ一人の教師
   母にしかられると、父の教室の後ろで本を読んだ。

*この時に、「ものを読まずにいられないという、不治の病にかかった」 


9歳 国境近くに引っ越し、ドイツ語が身近になる。

*過去のオーストリアによる支配を思い出させ、
当時ハンガリーを占領していた国の、軍人の言葉であることへの憎しみ。
のちにロシア(ソ連)に占領され、ロシア語が義務化された虚しさ。


14歳 父は政治犯(いいがかりでしょう)として刑務所へ。
母はねずみ殺しの毒袋作り工場で働く。アゴタは政府により寄宿舎へ。

*スターリン思想の教育、外出や面会の制限、
ノートも鉛筆もカバンも無く借り物の極貧生活。
ここで、悲しみや寂しさを秘密の表記法で書き記すようになる。


21歳 夫と生後四ヶ月の娘と、オーストラリアとの国境を越える。
難民として、ウィーンからスイスのローザンヌ、チューリッヒ、ヴァラジャンへ。
時計工場で一日中単純作業をし、頭の中で詩を作る。

*四歳でハンガリー語が読めたのに、大人になりフランス語の文盲になった。
*スイスに亡命したハンガリー人で、二年の間に4人が自殺した。
(その理由は、アゴタと同じ、孤独や虚無感、そして絶望?)


ロシアを憎み続け、
ロシアの作家が、母国の行為を告発する作品を発表しない事を怒り、
フランス語を使わざるを得ない事に憤り、不幸しか感じられない。


アゴタは、三人の子供の母となり、文章で収入を得、
世界中に翻訳される作家になっても、こう書いています。

もしハンガリーを出なかったら、
もっと貧しく、もっと辛い人生だっかもしれない。
でも、こんなに孤独でこんなに心を引き裂かれる人生ではなかった。



スイスで、オーストリアで、ロシアで、
アゴタに好意を寄せる人々は、どんな気持ちでアゴタのこの言葉を読むのでしょう。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


子供時代が幸せな人は、大人になっても幸せで、
試練に耐え、幸せな家庭を築ける。
とずーーーっと信じてきたんですが、
子供時代への、故郷への郷愁が強すぎて、とらわれている人は、
生活が平安でも心は不幸なのですね。


短編集「どうでもいい」も、人間と人生を否定している話に満ちてます。


カワイソウだ。アゴタがカワイソウだ。アゴタの子らがカワイソウだ。




第三の嘘(悪童日記三部作)


「悪童日記」「ふたりの証拠」ときて、
とうとう三作目「第三の嘘」。 これで完結。


またしても二時間でいっき読み。目がぼやける


アゴタ・クリストフ (Agota Kristof)1935-2011著

Le Troisième Mensonge

三





『悪童日記』の真実が明かされる

と、期待して、思い込んで読み進め、ますますケムに巻かれる。
「悪童日記」の、”ぼくら”の一人が手記を書かなければならなかった理由が示唆され、
「ふたりの証拠」の、双子の正体を見せてくれたはず。を裏切る。

ストーリーについては書いてもしかたがない。体感しないとわからない。


前二作に比べて、非常に複雑で解りにくくなっています。
裏切られ続けます。
前二作と同じく、読み終わるまで読むのを止められません。
ショックを受け続けます。


ラスト、共感できる自分が悲しい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


作者の人生を知りたくて、どんな事を考えてたのか知りたくて、
自伝は予約しています。待ちきれないから、
あとがきにあるインタビューから少し。

子供時代は戦争時代。父は動員母は動物や畑の世話に忙殺。
愛する兄と森や野原を駆け回る日々。
14歳で家族から引き離され、マルクス主義の寄宿舎で、権力に自由を奪われる。
(この時に、内部で何かが壊れたと言ってます。)
18歳で、反体制運動をしていた男と結婚。自分は活動しなかったが、
ハンガリーを蹂躙したロシア人には、すさまじい憎しみを抱いている。
スイスに亡命して一日中工場で働く。スイス人の無関心さ冷ややかさに驚いた。
「悪童日記」には、自分の人生に起きたことがいくつもある。
二作目、三作目を書く予定は無かったが、あの二人が消えなかった。


「書くというのは自殺行為です。」 うん
「書けば書くほど病は深くなります。」 うん、うん、
「しかし書かなければ、生きている意味がない。」 うん。。。。

アゴタは、生涯、憎しみから逃れられなかった人なんだ。

憎しみで書かれたものは、あえて憎しみを隠し、
耐えられない現実に嘘をつき、嘘を嘘でごまかし、歪んでねじくれて、
こうして誰にもおもねない、
「人間(大人)は信じられない、人は裏切る、人は汚い、人は・・・」
物語ができあがった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


この人の文章を私が好きな理由を考えた。

*装飾が無い。
・シンプルな文章、表現。多くの小説が、ごちゃごちゃとうるさい説明があるのに、
説明しないと読み手に伝わらないと勘違いしてるのに、
ほんの短い一行の文で、時間も空間も瞬時に理解させられる力量なのだ。

*感情を表さない。
・感情表現が無くとも、感情は直感で感じとれ、感情を揺さぶる。

*突き放している 乾いている 
醒めている 達観している。

・その、冷たいとも言える表の文章の裏には、煮えたぎり渦を巻く苦悩がある。

あ・・・ ミッシェルガンエレファントの曲を聴いた時と同じ感覚だ、これ。
あ・・・ 買いたくなるアートもそうだ、同じだ!!! 突き放してる。


めちゃめちゃ好みだよーーーーーー!!

で、なんでここまで私を夢中にさせるのかの決定的なところを見つけた!

アゴタはこう言ってる。
「恋愛の物語など存在しない。あるのは性の物語だけ。
男女関係が本当に満足に値するものとは信じてない」


これ、まんま、あたしじゃーーーーん!!



友よ!

わかるよ、あんたの気持ち、これを言ってくれる人を探してたんだよ!
あたし一人でぶつくさ文句言って、クダ巻いて、なにかっつーと
恋愛なんて錯覚、ホルモンの仕業、とほざいて人に嫌われているが、
身にしみて知ってることを言ってるだけだい!ねっ!
くそーーー、会いたかったよーーーー 話したかったよーーーー



しかし、辛い。この物語に出てくる人々の不幸が辛い。
こんな結末を、こんな小説を書こうとした作者の心が辛い。
辛いが、同じ気持ちだから愛する。

列車か、いい考えだな。


うん、


映画化してしまった「悪童日記」は、10/3〜公開

公式サイト


この監督の他の作品をいいと思ったら観に行こう、と、調べた。



「Woyzeck」(1994)

不倫殺人・・・・・ いい!美しく悲惨





「Opium: Diary of a Madwoman 」(2007)

前時代の精神病院の・・ いい!!美しく残酷






「悪童日記」で使われる音楽はベートンベン
Beethoven: Symphony No.7: Second Movement





辛い・・・・・・

辛くて好き





ふたりの証拠(悪童日記三部作)


非常〜〜〜に力のある異色の小説「悪童日記」
あんまり引き込まれたんで、他の二冊も読書中。

悪童。。。の数日後から始る「ふたりの証拠」は2時間で集中完読。
目がぼやけてるし興奮で悪夢見るし、身体に悪いわ〜。


「ふたりの証拠La Preuve 」 1988年

*意味 証拠

証拠



悪童日記は「ぼくら」が主語で、固有名詞がいっさい出てこなかった。
ふたりの証拠で、初めて双子の名前も歳も明かされる。
祖母の家に残ったリュカのその後が描かれる。


<ストーリー>

戦争は終わったが、厳しい思想統制が行われている小さい町。

リュカ(LUCAS)は一人。
国境での出来事から数日は、放心状態で記憶も無く食べる事も忘れていた様子。
「さて、これからどうしよう」
「以前と同じようにする。朝起きて夜眠る。」
「長く続くんだろうな」「一生ずっと」

リュカは、兄クラウス(CLAUS)を待ちながら、
クラウスに読んでもらうための手記を書き続けている。
母子心中をしそこなった若い女と赤ん坊を家に住まわせる。
司祭との関係は続き、彼はリュカを息子のように思う。
リュカは成人し、祖母の家を売り本屋を買う。
リュかは30歳になるまで本屋を続ける。
リュカは本屋をペテールに託し失踪する。


人には、姉を愛してると言い、
そう言うことで自分の憎しみを押し殺してきたアル中の本屋ヴィクトール
政治犯として誤認逮捕され処刑された夫を、忘れられない司書クララ
同性愛をひた隠しにし、子供の頃からばれる恐怖に怯えてきた党員ペテール
工場を国有化するため持ち主である妻を殺され家を奪われた不眠症の男
父親の子を産んだヤスミーヌ


悪童と同じく、出て来る人々は、
絶望したり殺されたり自殺したり処刑されたり・・・
しかし、悪童と違って、善良さを見せる数人の人物も出てくる。

ふたりの証拠というタイトルの意味は、ラストでわかる。



<感想>

感情を殺して、事実だけを冷静に受け止め理路整然と話し、
堅実に生活していた双子が実は、強い精神的ダメージを受けていたことが、
数カ所のリュカの体調と、アルコールの摂りかたでわかる。
血のつながらないマティアスへの、献身と養育。
ここでは、世間に疎まれる子供に自分を重ね、『愛』というより
『自分より不幸な子供への安心(優越感?)と所有欲』な気もする。
口では大切だと言うが、夜な夜な酒を飲みに、クララに会いに出かけるのだから。
禁書を手に入れることが目的だったのに、年上の司書クララに母を重ねつきまとう。
これも『愛』より『失われた絆』への執着に感じる。

そして、孤独への恐怖。

『愛』を否定し拒否して生きてきたリュカの、孤独への恐怖。
孤独・恥・危険への防御本能は、祖母の家に疎開してから増幅し、
リュカは大人になっても、常にポケットに武器を忍ばせている。
忍ばせているだけでなく、使う時には使う。


もしかしたら、この三部作のテーマは、
愛されなかった子供の、愛を求める悲劇
なのかもしれない。三作目の「第三の嘘」を読めば正否がわかるはず。


ペテールが最初から疑念を抱いていた事は、
双子の片割れクラウスが現れてからの、17ページに描写される。
「えええええーーーーーーっ!そ・そうだったのぉおおおお?」
と、鈍い私は心底驚いたが、察しのいい読者さんは気づいてしまうんでしょうな。

クラウスについての事務的な最後の数ページは、
恐ろしく秀逸すぎて、衝撃以外のなにものでもない!
「朗読者」の衝撃以来の衝撃


私がグッサリきたのは、
せむしで小人症の子マティアスがいつも、
「僕が一番強くて頭がいい」と傲岸なほどの自信を見せているのに、
外見が美しい人に対すると、憎悪と嫉妬で苦悶するくだり。
「リュカを憎んでるんだ!大きくて美しいじゃないか!」
「頭がよくたってなんにもならない。
 美しくてブロンドの髪を持っているほうがいいよ」

ああ・・・・ この子の絶望。 真実への絶望。


悲しい

悲しいが、涙が出る悲しさじゃないの
人間の奥深さ奥深い所の悲しみ 生き物の源にある悲しみ



映画化された「悪童日記」
観るべきか避けるべきか・・・・・・・・

悪童日記



アゴタの自伝まで予約してしまった。
こんな小説を書く人の、この人の内面が知りたい。







「悪童日記」


昔 読みました。記憶に残っているのは、
<性的でうしろめたい>
ということ。

何がそんなにイヤラシク感じたのか再読。
映画化不可能と言われていたのに映画化された作品が、
この秋 日本でも公開になるから。


著者クリシュトーフ・アーゴタ(アゴタ・クリストフ)
1956年、ソ連の支配に蜂起したハンガリーのハンガリー革命。
ソ連の鎮圧による殺害から逃れるため、オーストリアへ、のちにスイスへ。



フランスに移住し、フランス語でのデビュー作
「悪道日記Le Grand Cahier」1986年

*意味 大きなノート

邦題は悪ガキの日記みたいですが、いわゆる不良でも悪戯っ子でもなく、
悪でもありません。結果、悪の行動でも、彼らにその気はなく、
大人の言う、一般的なモラルは無い。
「隣人が金が無くて困っているから」
「おばあちゃんがそうしたいというから」
「おばさんがそうしてくれというから」

そこに悪や恐ろしさを感じるのは、
平安な生活ができている現代大人ならでは。

悪





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<ストーリー>

小学校3年生くらいから?の双子の男の子の片方が、
「ぼくら」で書き留めた真実のみを綴る形になっています。
つまり、「〇〇(食物)が好きだ」とは書かず、「〇〇をたくさん食べる」
「〇〇(建物)は美しい」と書かず、「〇〇は大きい。色は・・・形は・・」
感情を表現する言葉を書かないのです。

「ぼくら」双子の兄弟は、大きい町のおかあさんと離れ、
小さい町のおばあちゃんちに疎開した。
魔女と噂されるおばあちゃんは、文盲不潔ケチ粗暴。
双子をこき使い、娘(おかあさん)からの仕送りも着服。

「ぼくら」は、泣いたり弱さをみせたりしないよう、鍛錬する。
・殴り合い、痛みを感じなくする。
・罵倒し合い、傷つかなくする。
・おかあさんの愛ある言葉を何度も繰り返し言い、意味のないものにする。

戦争だから、あちらの国また別の国と、兵士がうろうろする。
兵士は盗み強姦し双子を利用する。

おとうさん おかあさん おばあちゃん 
隣の兎口の女の子とそのロウの母親
司祭 女中 将軍 警察

「ぼくら」は人を、感情で見ない語らない。
誰かが泣いても嗤っても何をしても死んでも、事実を認識し、書くだけ。

冷静に計画的に、戦場下の子供としてできるだけの事をする。
愛や優しさからではなく、
(愛や優しさを否定することで、自分たちの心が弱くなるのをふせぐ)
するべき事だから。そしてなにより生きるために。



<感想>

第二次世界大戦時、ハンガリーはドイツに侵入され、しかたなくソ連に宣戦布告。
ドイツへの派兵を強いられ、離脱するために連合国側と和平するが、
かえってドイツに国土占領される。の史実をふまえた訳者の補足説明がある。
・小さな町はハンガリーの田舎町
・大きな町ーブダペスト
・国境ーオーストリアの境
・もう一つの国ードイツ
・外国の軍隊ードイツ軍  などの注釈も。

しかし、あとがきや注釈を読まなくても、
ドイツ、ナチス、ユダヤ人迫害虐殺、ロシア、など、
ヨーロッパの歴史に詳しくない日本人の私にも、すぐに想像がつく描写にはなっている。
具体的に記されてない(子供が見た事実のみの文章という形式だから)
様々な事柄を推測しながら読むことで、ファンタジー性が加わり、
子供主役のファンタジーだからこその残酷さをより感じられる。

淡々と、誰かが行方不明になり、誰かが犯され誰かが殺され、
淡々と、双子は知恵をつけていく。悲しい

家にお金のない兎っ子に食べ物をあげようとすると、
「いらない、わたし、自分で盗めるもの」
「ほしいのはあたしを愛してくれること。誰も愛してくれないの」
兵士を家に誘い、大勢に強姦される兎っ子は、
「なんてうれしい、なんてうれしい」

SEXのみが人に愛されることだと思っている、
SEXでしか人が気にかけてくれない、兎ッ子。悲しい

大人はどうでもいい、生きるも死ぬも自業自得。
常に犠牲になるのは子供。悲しい

恐ろしくない、悲しいだけ


書ききれない 


子供時代に、悶々としたものを抱え、
行動しないまでも悪意を募らせて来た人になら、
「ぼくら」はとても身近であり、
大人が作った社会と、大人個人の犠牲になっても、
知恵と行動で生き抜いていく「ぼくら」は、私たちの代弁者である。



こんな過酷で異常で残酷な物語、映像にしていいんだろうか
映像にしないでほしい 映画館に行って耐えられるのか?


映画予告編
流れるのは、ベートーベン:交響曲第7番より第2楽章
とてもとても荘厳でロマンチックなので、たくさんの映画に使用されていますね。
「落下の王国」が忘れられない。日本だと「愛のむきだし」しか知らない。





三部作となる「ふたりの証拠」「第三の嘘」 も読まねばならん
で、今日から読み始めます。感想は数日後